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Cloud AI エンジニア入門ガイド
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09. Gemini Gemsとパーソナライズ

同じ前提を毎回書くのは面倒です。私は情報システム部門の担当で、社内向けの文章を書いている、専門用語は避けて。これを説明し直すのは、3回目で嫌になります。

Geminiには、この繰り返しをなくす仕組みが3つあります。ただし便利さと引き換えに、渡す情報も増えます。仕組みと、その線引きを扱います。

この章の全体像として、Gems、メモリ、接続アプリ、文脈は層になるの4つを番号順に並べ、どこに何を持たせるかを選べるようになることを示した図

シリーズ目次前章: 08. Gemini Deep ResearchとCanvas次章: 10. Geminiのエージェント機能

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この章のねらい

3つの仕組みの違い

似ているようで、効く範囲がまったく違います。

仕組み何を覚えるか効く範囲自分で書くか
Gems自分が書いた指示と添付資料そのGemを使うときだけ書く
メモリ過去の会話から学んだこと通常のチャット全体自動
接続アプリ許可したGoogleアプリのデータ許可した機能の中で許可するだけ

自分で書くか、勝手に覚えるか。ここが最大の違いです。制御しやすいのがGems、放っておくと便利になるのがメモリと接続アプリ。

3つを同じ観点でそろえて並べます。

Gems・メモリ・接続アプリの3つについて、何を覚えるか・効く範囲・自分で書くかどうかを縦にそろえて比べた図

Gems:自分専用の設定を保存する

Gem(ジェム) は、指示と資料をひとまとめにして名前を付けたものです。呼び出せば、毎回その前提から会話が始まります。無料プランでも作れます。

Gemに役割・手順・出力形式・参照資料を設定しておくと、呼び出すたび同じ前提で始まることを示す図

何を書くか

第6章で扱ったプロンプトの4要素が、そのままGemの中身になります。

【名前】社内文書レビュー

【役割】
情報システム部門の文書を校正する編集者として振る舞ってください。

【必ず守ること】
- 専門用語には初出時に短い説明を添える
- 断定できない箇所は「確認が必要」と印を付ける
- 元の文章の数値と固有名詞は絶対に変更しない

【出力形式】
1. 修正後の全文
2. 変更点の一覧(変更前 → 変更後 → 理由)

【参照資料】
(社内の表記ルールをまとめたファイルを添付)

絶対に変更しない、のような禁止事項を明示してください。放っておくと、数値や固有名詞まで読みやすく書き換えられることがあります。

どんなGemが役に立つか

Gemの例効果
定型文書のレビュー役書式のばらつきがなくなる
特定分野の相談相手前提説明が不要になる
翻訳・用語統一訳語のぶれがなくなる
批判役(反対意見を出す係)同調しやすい傾向への対策になる

最後の批判役が効きます。第6章で触れたとおり、モデルには利用者に同調しやすい傾向があります。専用のGemを作っておけば、意識的に反対意見を取りに行けます。

Tip

よく使うプロンプトが固まってきたら、Gemにしてください。毎回同じことを書いていると感じた瞬間が、作るタイミングです。

メモリ:過去の会話を覚える

メモリは、過去のやりとりから利用者の情報を学んで、次の会話に反映する仕組みです。以前は過去のチャットと呼ばれていた機能が名前を変えました。

たとえば、私は電車通勤で平日は帰りが遅い、と一度話しておけば、後日の予定の相談でそれが考慮されます。

利点注意点
前提説明が不要になる覚えてほしくないことも覚える
提案が自分向けになる古い情報が残り続けることがある
会話が短くて済むなぜその答えが出たのか分かりにくくなる

メモリの内容は設定画面で確認・削除できますし、機能そのものをオフにもできます。以前の話が変な形で引きずられていると感じたら、まずここを見てください。

なお、メモリはすべての機能で働くわけではありません。Gemsの中や音声のLiveチャットなど、対象外の場面があります。

接続アプリ:Googleサービスと繋ぐ

接続アプリ(Connected Apps) の設定で、GmailやGoogleドライブなどをGeminiから参照できるようにできます。第三者のツールを接続できる場合もあります。

さらに、対象地域ではPersonal Intelligenceという機能により、Gmail・フォト・YouTube・検索などを繋いで、より個人に合わせた回答を得られるようになっています。2026年8月時点では、欧州経済領域(EEA)・スイス・英国・ナイジェリアを除く対象地域へベータ版が順次展開されています。利用には18歳以上の個人用Googleアカウントなどの条件があります。

繋ぐと何ができるようになるかは分かりやすい。ただし判断は慎重にしてください。

繋ぐ利点繋ぐことで生じること
「先週のあのメール」で通じるメールの内容が回答の材料になる
予定を踏まえた提案が出るカレンダーの内容が参照される
自分の資料を根拠に答えるドライブの文書が読まれる

利点と、その裏側で起きることは必ず対になります。

メール・カレンダー・ドライブを接続したときの利点と、その裏側で参照される範囲が広がることを3組の対応で並べ、下に判断の目安を示した図

判断の目安を挙げます。

  1. 必要になるまで繋がない。使う場面が来てから、その機能のために繋ぐ
  2. 業務アカウントでは組織の方針を先に確認する。管理者が制限している場合もある
  3. 繋いだ後も定期的に見直す。一度繋ぐと、そのままになりがち

文脈は層になっている

ここまでの仕組みは、それぞれ違う層で効いています。回答は、これが重なった結果です。

アプリの基本設定・Gemの指示・メモリ・接続アプリのデータ・いまの入力が積み重なって回答が作られる階層図

原則として、具体的で新しい指示ほど強く効きます。いまの入力で、今回は箇条書きにしないで、と書けば、Gemの出力形式より優先されます。

とはいえ層が増えるほど、なぜこの答えになったのかが追いにくくなります。おかしな出力が続くときは、上の層から順に疑ってください。

  1. いまの入力に矛盾はないか
  2. 接続アプリから妙な情報を拾っていないか
  3. メモリに古い前提が残っていないか
  4. Gemの指示が強すぎないか

一時チャットという逃げ道

機微な相談をしたいが、履歴やメモリには残したくない。そのための一時チャットです。

一時チャットは履歴に保存されず、メモリにも反映されません。ただし安全性確保のため、ごく短期間の保持は行われます(第14章)。

使い分けの目安です。

場面選ぶもの
継続的な業務通常のチャット+Gem
個人的な相談一時チャット
他人の情報が含まれる相談そもそも入力しない、または匿名化する

場面と選ぶものの対応を、注意点まで含めて1枚にします。

継続的な業務は通常のチャットとGem、個人的な相談は一時チャット、他人の情報が含まれる相談はそもそも入力しないという3つの対応を並べた図

最後の行を読み飛ばさないでください。一時チャットは、入力してよいという許可ではありません。他人の個人情報や社外秘の情報は、保存の有無にかかわらず慎重に扱ってください。

要点

参考資料


シリーズ目次前章: 08. Gemini Deep ResearchとCanvas次章: 10. Geminiのエージェント機能


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