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08. Gemini Deep ResearchとCanvas

ここまでの使い方は、1回聞いて1回答えてもらう形でした。ここで扱う2つは性質が違います。

Deep Researchは、数十から数百のページを自分で巡回して調べ、レポートにまとめてくれる機能です。Canvasは、できあがったものを並んで直していくための作業空間。どちらも一問一答の外側にあります。

この章の全体像として、Deep Research、計画を直す、情報源、Canvasの4つを番号順に並べ、調べる仕事の質を計画段階で決められるようになることを示した図

シリーズ目次前章: 07. Geminiのマルチモーダル機能次章: 09. Gemini Gemsとパーソナライズ

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この章のねらい

Deep Researchは何をしているのか

普通の質問なら、Geminiは必要に応じて数件の検索をして答えます。Deep Researchは規模が違います。多数のページを巡回し、読み、足りない部分を判断してさらに調べる。この手順を、時間をかけて繰り返します。

利用者が依頼し、計画の承認を経て、Deep Researchが情報源を繰り返し調べてレポートを返すまでのシーケンス図

公式の説明では、次の4段階として整理されています。

段階何をするか
計画(Planning)依頼を小さな調査項目へ分解し、調査計画を作る
検索(Searching)Webや、許可された場合はGmail・ドライブ・チャットを調べる
推論(Reasoning)集めた情報を突き合わせ、足りない点を判断して調べ直す
報告(Reporting)出典付きの長いレポートにまとめる

処理には数分かかります。その間に別の作業ができる。ここが実用上の利点です。

計画を直す

Deep Researchでいちばん見落とされて、いちばん効くのが計画の確認です。

依頼を出すと、実際の調査に入る前に調査計画が提示されます。ここで内容を見て、ずれていれば直します。

(依頼)
社内向けにチャットボットを導入する場合の選択肢を調べて。

(提示される計画の例)
1. 主要なチャットボット製品の比較
2. 導入事例
3. 費用構造
4. セキュリティ上の考慮点

(修正の指示)
2は不要です。代わりに「日本の個人情報保護法に関する留意点」と
「オンプレミス構成が可能かどうか」を追加してください。
比較対象は法人向け製品に限定してください。

ここで直しておかないと、数分かけて的外れなレポートが出来上がります。計画の1分は、レポートの10分に相当します

この分かれ道を図にすると、確認の重みが見えてきます。

依頼のあとに提示される調査計画をそのまま実行した場合と、直してから実行した場合を分岐で並べ、計画の確認がレポートの質を決めることを示した図

何を情報源にできるか

Web上の公開情報に加えて、許可すればGmailもGoogleドライブもGoogleチャットも調べられます。自分でファイルや画像をアップロードして材料に加えることもできます。

強力ですが、自分のメールや文書をAIの調査対象にするという判断でもあります。接続の考え方は第9章、データの扱いは第14章で扱います。

Note

Deep Researchは150以上の国と45以上の言語で提供されており、利用には18歳以上という条件があります。プランによって実行できる回数の上限が異なります。

レポートの読み方

出来上がったレポートは体裁が整っているので、そのまま使いたくなります。ただ、次の点は必ず確認してください。

確認する点理由
出典リンクを実際に開くリンク先が主張を裏付けていないことがある
一次情報かどうかまとめ記事の孫引きが混ざりやすい
日付古い情報が最新として扱われることがある
数値単位や期間の取り違えが起きやすい
抜けている観点計画に無かった論点は調べられていない

最後の項目が肝心です。Deep Researchは計画に書かれた範囲しか調べません。網羅的に調べてくれたと感じるなら、それは計画が網羅的だっただけです。

Canvas:並んで直す場所

Canvasは、生成物を右側の作業領域に開いて、部分的に直しながら仕上げていく機能です。チャットのやりとりが左、成果物が右という配置になります。

普通のチャットとの違いはこうです。

チャットCanvas
直すたびに全文が作り直される指定した部分だけ直せる
前の版が流れていく版を保ちながら編集できる
文章として読む実際の形(Webページなど)で見られる

3つの違いを対応させて並べます。

全文が作り直される・前の版が流れる・文章として読むというチャットの性質と、指定した部分だけ直せる・版を保てる・実際の形で見られるというCanvasの性質を3組の対応で並べた図

長い文章やコードを扱うとき、この差は大きく効きます。

Deep ResearchとCanvasを繋ぐ

この2つは組み合わせて使う前提です。Deep Researchのレポートを、そのままCanvasで別の形へ作り変えられます。

調査レポートや下書きをCanvasで開き、インフォグラフィックやクイズ、Webページ、音声解説へ作り変える流れ図

たとえば、次のような変換ができます。

調べるところから、伝える形にするところまで続けてやれる。この組み合わせの価値はそこです。

(Canvasでの指示例)
このレポートを、非エンジニアの管理職向けの
1枚のインフォグラフィックにしてください。
専門用語は使わず、費用と期間の比較を中心に。

どう使い分けるか

3つの機能の使い分けです。

やりたいこと使うもの
事実をひとつ確認したい通常のチャット
複数の情報源を突き合わせて判断材料を作りたいDeep Research
できたものを形にして仕上げたいCanvas
手順のある作業を代わりに実行してほしいエージェント機能(第10章

目的から機能へ、一対一で対応づけると迷いません。

事実の確認は通常のチャット、複数の情報源の突き合わせはDeep Research、仕上げはCanvas、手順のある作業はエージェント機能という4つの対応を並べた図

よくある失敗が、単純な質問にDeep Researchを使うことです。数分待たされたうえ、実行枠を消費します。1〜2回の検索で分かることには、通常のチャットで足ります。

逆に、判断が絡む調べ物にはDeep Researchが効きます。製品選定、法規制の整理、技術の比較検討。複数の観点を並べる必要がある場面です。

要点

参考資料


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