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Cloud AI エンジニア入門ガイド
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14. Geminiのプライバシーと安全な利用

最後に、いちばん現実的な問題を扱います。入力した内容はどこへ行き、どれくらい残り、誰が見るのか

ここを曖昧にしたまま業務で使い始めると、後から取り返しがつきません。仕組みを理解して設定を選べば、安心して使える範囲がはっきりします。

この章の全体像として、データの扱い、保持の期間、個人と組織、出すときの注意の4つを番号順に並べ、入力してよい情報を自分で線引きできるようになることを示した図

シリーズ目次前章: 13. Geminiの限界とリスク

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この章のねらい

データはどう扱われるか

Geminiアプリ(個人向け)で鍵になるのが、アクティビティの保存という設定です。

アクティビティ保存のオン・オフによって、保存期間と人によるレビューの対象が変わることを示す図

設定何が起きるか
保存オン会話・ファイル・画像などが履歴に保存され、サービス改善(AIモデルの改良を含む)に使われることがある
保存オフ、または一時チャット履歴に残らない。通常は提供と安全確認のため72時間保持される。フィードバック送信時などは関連データが最長3年保持されることがある

保存をオンにしている場合、既定では18か月で自動削除されます。設定で3か月・36か月・無期限に変更できます。

人によるレビュー

ここが見落とされます。会話の一部は、訓練を受けたレビュー担当者(Googleのサービス提供事業者を含む)が確認します。回答の品質や安全性を評価するためです。

レビュー対象になった会話は、アカウントとは切り離して別に保管され、最長3年間保持されます。この場合、後から自分の履歴を削除しても、切り離された側は消えません。

だから公式のプライバシー案内も、はっきり書いています。レビュー担当者に見られたくない情報、Googleにサービス改善へ使われたくない情報は入力しないでください、と。

具体的には次のものです。

設定を変える・削除する

操作はいずれもGeminiの設定画面から行えます。

やりたいこと操作
今後の会話を保存しないアクティビティの保存をオフにする
この会話だけ残さない一時チャットを使う
過去の会話を消すアクティビティ画面から個別またはまとめて削除
自動削除の期間を変える3か月・18か月・36か月・無期限から選ぶ
メモリの内容を消すメモリの設定から確認して削除(第9章
Important

保存をオフにしても、通常は72時間の保持が行われます。フィードバックを送信した場合などは、関連データが最長3年保持されることもあります。入力した瞬間に消えるわけではない、ということです。オフ設定を、機微な情報を入力してよい根拠にはしないでください。

入力してよいか迷ったら

判断の流れを図にすると、次のようになります。

他人の個人情報・認証情報・社外秘かどうかで入力の可否を判断する流れ図

実務での目安を挙げます。

情報の種類判断
公開情報、自分で書いた一般的な文章入力してよい
自分の業務メモ(他人の情報を含まない)原則よい。組織の方針は確認
顧客名・個人名・連絡先を含む資料匿名化してから、または入力しない
契約書、社外秘の設計書組織の方針と契約形態を確認してから
ID・パスワード・カード番号入力しない
他社から預かった秘密情報契約上の制約を必ず確認

匿名化が効きます。A社、担当者X のように置き換えれば、相談の中身は変わらないまま安全性が上がります。

個人利用と組織利用は別物

同じGeminiでも、どの契約で使っているかでデータの扱いが変わります。ここを混同するのがいちばん危ない。

使い方データの扱いの基本
個人向けGeminiアプリ(無料・個人課金)設定に応じて保存され、改善に使われることがある
Google Workspaceに含まれるGemini機能業務向けの条件が適用され、個人向けとは扱いが異なる
Gemini API(有料利用)送信内容をモデルの学習に使わない扱いが基本

3つの使い方を、扱いの基本と決める人ごとに並べます。

個人向けアプリ・Workspaceに含まれる機能・有料のGemini APIという3つの使い方について、データの扱いの基本と、誰が条件を決めるのかを並べた図

つまり、Geminiは業務で使ってよいか、という問いには単独では答えられません。どの契約のGeminiを、どの設定で使うか。ここまで決めて初めて答えが出ます。

組織で使い始める前の確認事項

導入を検討する立場なら、次の6点を確認してください。

  1. 契約形態:個人課金か、組織のWorkspace契約か
  2. 管理者設定:どの機能が有効か、接続アプリは許可されているか
  3. 入力してよい情報の基準:社内ルールとして明文化されているか
  4. 出力の確認手順:誰がどこで検証するかが決まっているか
  5. 記録の扱い:会議の自動記録などに参加者の合意があるか
  6. 法規制:扱うデータに固有の規制(個人情報、業界規制など)がないか

3番目と4番目は技術ではなく運用の問題です。ここが決まっていない状態で全社展開すれば、必ず事故が起きます。

生成物を外に出すときの注意

自分が使うだけなら問題にならないことも、社外に出す段階で問題になります。

確認理由
事実関係の裏取りは済んだかハルシネーションが残っていないか(第13章
出典の記載は適切か引用のルールを守れているか
生成画像に権利上の問題はないか既存の作品や実在の人物に似ていないか
AI利用の明示が必要か取引先や媒体の規程で求められる場合がある
機微な情報が混ざっていないか入力した資料の一部が出力に残ることがある

公開前のチェックリストとして1枚にまとめます。

事実関係の裏取り・出典の記載・生成画像の権利・AI利用の明示・機微な情報の混入という5つの確認項目を、それぞれの理由とともにチェックリスト形式で並べた図

最後の行が見落とされます。要約や書き換えを頼んだ結果に、元資料の固有名詞がそのまま残ることがある。公開前に必ず読み返してください。

次の一歩

シリーズはここで終わりですが、Geminiとの付き合いはここから始まります。実践の順序を置いておきます。

1週目:無料で試す

第5章の3つの試し方、資料を読ませる、調べ物を任せる、手直しさせる、をやってみてください。出典リンクを開く習慣を、ここで作ります。

2週目:自分のGemを作る

繰り返し書いている指示をGemにします(第9章)。批判役のGemも一緒に作っておくと、判断の質が上がります。

3週目:確認の手順を決める

自分の仕事で、軽い、中くらい、重いの3段階を具体的に定義します(第13章)。ここまで来れば、任せられる範囲を自分で判断できます。

3週間の流れを1枚にまとめます。

1週目は無料で試す、2週目は自分のGemを作る、3週目は確認の手順を決めるという3段階を順に並べ、それぞれで身につくことを示した図

その先

最後にもう一度。仕組みを知っている人が、いちばん安全に、いちばん深くAIを使えます。名前も機能も変わり続けますが、ここまでに扱った原理と判断基準は、そう簡単には変わりません。

要点

参考資料


シリーズ目次前章: 13. Geminiの限界とリスク


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