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Cloud AI エンジニア入門ガイド
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06. Claude プロンプトの基本

AIに聞いてみたけど、微妙な答えしか返ってこなかった。この体験のほとんどは、モデルの限界ではなく指示の書き方が原因です。

プロンプトは、モデルへ渡す指示や材料のことです。実務でそのまま使える書き方の型を扱います。

この章の全体像として、5つの構成要素、区切りを示す、例を1つ見せる、強調しすぎないの4つを番号順に並べ、事情を知らない優秀な新人に渡せる指示が書けるようになることを示した図

シリーズ目次前章: 05. Claudeを使い始める:画面・プラン・準備次章: 07. ClaudeのProjects・Artifacts・メモリ

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この章のねらい

5つの構成要素

次の5つを意識して組み立てると、結果が安定します。

プロンプトを「何をするか」と「どう返すか」の2群5要素に分解した図

要素中身
文脈誰のための、何のための作業か「社内の非エンジニア向け勉強会の資料です」
依頼やってほしいこと「この技術文書を要約してください」
材料対象の文章やデータ実際の文書本文
制約守ってほしい条件「専門用語には必ず注釈を付ける」
出力形式返してほしい形「見出し付きの箇条書きで、全体800字以内」

全部を毎回書く必要はありません。ただし思ったものが返ってこないときは、この5つのどれかが欠けています。そう考えると原因を絞りやすい。

実例で比べる

同じ目的でも、書き方で結果が変わります。

改善前

このドキュメントを要約して

改善後

社内の非エンジニア向け勉強会で配る資料を作っています。
以下の技術文書を要約してください。

条件:
- 専門用語が出てきたら、その場で1文の注釈を付ける
- 「なぜそれが必要か」が伝わることを優先し、実装の詳細は省く
- 見出し付きの箇条書き、全体で800字以内

文書:
(ここに本文)

改善後は長いですが、書いているのは相手と目的と条件と形式だけです。一度型を作れば、次からは材料を差し替えるだけで済みます。

Tip

曖昧な形容詞は具体的な基準に置き換えてください。簡潔により800字以内、分かりやすくより専門用語に注釈を付ける。モデルは指示を額面どおりに受け取るので、測れる形で書いたほうが確実です。

区切りを明示する

長いプロンプトでは、指示と材料が混ざります。材料の文章の中に「〜してください」という一文があると、それを指示として受け取ってしまう。

防ぐ定番の方法が、XMLに似たタグで囲むことです。Claudeの公式ドキュメントでも推奨されています。

以下のレビュー本文を分類してください。

<レビュー>
配送は早かったが、箱が潰れていた。返品したい。
</レビュー>

<出力形式>
感情: ポジティブ / ネガティブ / 中立
理由: 1文
</出力形式>

区切りの有無で何が変わるかを並べると、次のとおりです。

左に区切りのないプロンプトで材料の中の一文が指示として読まれる例、右にタグで囲んで境界を明示した例を並べた対比図

タグの名前は日本語でも英語でも構いません。大事なのは、どこからどこまでが何なのかが構造として見えることです。

例を1つ見せる

言葉で説明しづらい要求は、例を見せるのが最短です。

次の形式で要約してください。

例:
入力: 弊社は2026年度第1四半期の売上が前年同期比12%増となりました。
出力: 【売上】2026年Q1、前年同期比+12%

では、以下を同じ形式で。
入力: (本文)

例が1つあるだけで、記号の使い方も語調も情報の取捨選択もまとめて伝わります。文章で20行かけて説明するより効きます。

Note

例を出すときは、これは例ですと明示するか、上のようにタグや見出しで区切ってください。例と実際の依頼が地続きになっていると、例の内容まで処理対象だと解釈されることがあります。

プロンプトの育て方

良いプロンプトは一発では書けません。直しながら育てるものです。

症状次に試すこと
内容は合っているが形式が違う出力形式を具体的に書く、例を1つ見せる
一般論ばかりで浅い文脈(相手・目的)を足す、エフォートを上げる
聞いていないことまで書く「〜のみを出力してください」と範囲を絞る
前提を間違えている材料として前提を明示的に渡す
長すぎる字数や項目数を数字で指定する

会話の途中でもっと短く、その2番目をもう少し詳しく、と伝えて直していける。これがチャット形式の利点です。最初から完璧を目指すより、2〜3往復で仕上げるつもりで始めるほうが早く終わります。

現行モデルで逆効果になる書き方

ここは、少し前の常識が通用しなくなった部分です。

以前のモデルは指示に従いきらないことがあり、その対策として 絶対に必ず重要 といった強調を重ねる書き方が広まりました。ところが現行のClaudeは指示への追従性が高く、この手の強調は過剰反応を招きます。

避けたい書き方置き換え
「絶対に必ず表を使うこと!」「比較する項目が3つ以上あるときは表にする」
「〜するな。〜も禁止。〜も避けよ」(禁止の羅列)してほしいことを肯定形で1〜2行
「迷ったら検索して」「日付や価格など、変わりうる情報は検索して確認する」
「手を抜かず徹底的に」(削除。指示がなくても丁寧に取り組む)

書き換えの方向を1枚にすると、次のようになります。

左に避けたい強調や禁止の羅列、右に測れる基準や肯定形へ置き換えた書き方を並べた左右対比の図

強調をすべて禁じる必要はありません。ただし強調が多いほど、どれが本当に重要なのかが伝わらなくなります。本当に外せない1〜2点に絞ってください。

同じ理由で、長大なプロンプトも見直す価値があります。昔うまくいかなかったから足した一文が積み重なって、いまのモデルには余計な制約になっていることがあります。

判断の基準

細かい技を覚えるより、次の一点を持っておくほうが役に立ちます。

その指示を、事情を知らない優秀な新人に渡して、期待どおりの成果物が返ってくるか。

新人には、背景も判断基準も成果物の形も伝える必要があります。逆に、業界の常識や自明な手順まで細かく指示する必要はありません。この感覚が、そのままプロンプトの塩梅になります。

要点

参考資料


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