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Cloud AI エンジニア入門ガイド
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04. Claudeの「考える」仕組みと長いコンテキスト

Claudeに難しい問題を投げると、答えが返ってくるまでに少し間があります。ときには考えていますという表示も出ます。あれは演出ではなく、答える前の準備作業が実際に走っています。

もう一つ、Claudeが長い資料を丸ごと読めるのは、コンテキストウィンドウが広いからです。この2つの仕組みを見ていきます。

この章の全体像として、答える前に考える、エフォート、思考は要約、共有される枠の4つを番号順に並べ、回答が浅いときと会話が崩れたときに手が打てるようになることを示した図

シリーズ目次前章: 03. Claudeの仕組み次章: 05. Claudeを使い始める:画面・プラン・準備

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この章のねらい

答える前に考える

前章で見たとおり、モデルの基本動作は次のトークンを書き足すことでした。ここに一工夫を加えたのが思考(thinking)です。

やっていることは単純で、利用者へ見せる答えを書き始める前に、下書き用の領域で考えを書き出す。人間が難しい計算をするとき、いきなり答えを言わずにまず紙で筆算をするのと同じです。

質問の難しさに応じて思考の有無を切り替え、エフォート設定がその判断に影響する流れ図

この一手間が効くのは、モデルが一度書いたトークンを後から取り消せないからです。考えをまとめずに書き始めると、途中で気づいた矛盾を直せません。先に下書きをしておけば、そこで気づいて方針を立て直せます。

アダプティブ思考:考える量をモデルが決める

初期の実装では、思考にどれだけトークンを使うかを利用者が数値で指定していました。ただ適切な数値は問題の難しさで変わるので、あらかじめ決めるのは無理がありました。

いまの主流はアダプティブ思考(adaptive thinking)です。名前のとおり、モデルが問題の難しさを見積もって考える量を自分で調整します。簡単な質問にはほとんど考えず、難問には長く考えます。

Claude 5系ではこれが標準的な動き方になっており、Claude Fable 5にいたっては思考を常時オンとして、切ることができません。

Note

古い記事やコードには、思考トークン数を数値で指定する budget_tokens という設定が出てきます。現行世代では使えません。代わりに、次に説明するエフォートで調整します。

エフォート:どこまで手間をかけるか

エフォート(effort)は、どれくらい手間をかけて取り組むかを指定する設定です。5段階あります。

設定目安となる使いどころ
low短く区切られた作業、速さ優先で頭を使わなくてよいもの
medium費用を抑えたいとき。品質とのバランスを取る
high既定値。判断の質が求められる大半の仕事
xhighコーディングやエージェント用途で推奨される設定
max正しさが費用より重要な、最も難しい問題

Claude APIとClaude Codeでは、Claude Opus 5とClaude Sonnet 5の既定値が high になっています。Claudeアプリの側にも、思考の深さを選ぶ設定項目が用意されています。

エフォートが効くのは思考の長さだけではありません。作業全体の丁寧さにも効きます。低く設定するとツールの呼び出し回数が減り、前置きが短くなり、確認も簡潔になります。高くすると、より多くの情報を集めてから答えます。

5段階の位置関係は、次のとおりです。

low、medium、high、xhigh、maxの5段階を左から右へ階段状に高くなる棒で並べ、既定値であるhighを強調し、それぞれの使いどころを添えた図

Tip

回答が浅いと感じたら、まずエフォートを一段上げてください。逆に、聞いていないことまで調べて遅いと感じたら一段下げる。プロンプトでもっと深く考えてと書くより、設定を動かすほうが確実です。

思考の中身は見えるのか

思考の扱いには、知っておくべき制約があります。

Claude 5系では、生の思考過程そのものは返ってきません。返るのは要約された形か、何も表示しないかのどちらかです。既定は非表示なので、APIから使う場合は明示的に指定しないと思考の欄が空になります。

利用者としての実務的な意味は次のとおりです。

内部で起きたことと、こちらへ返ってくるものの関係を図にすると、次のようになります。

左にモデル内部の下書き領域、右に要約された思考と何も表示しないという2つの返り方を並べ、生の思考過程は返らないことを示した図

コンテキストウィンドウ:一度に見渡せる範囲

コンテキストウィンドウは、モデルが1回のやりとりで見渡せる情報の総量の上限です。トークン数で表されます。

2026-08-09時点で、Claude Fable 5・Claude Opus 5・Claude Sonnet 5はいずれも100万トークン、Claude Haiku 4.5は20万トークンです。100万トークンはおおむね250万文字に相当する分量で、一般的な書籍なら数冊分に当たります。

ただしこれは、APIでモデルを直接呼び出す場合の仕様です。Claudeアプリには製品側の上限が別にあり、同日時点で個人向けプランとTeamは20万トークン、Enterpriseは既定モデルで50万トークン。モデル自体の最大値と、使う製品の上限は別物です

そして、この枠に入るのは会話の本文だけではありません

コンテキストウィンドウにアプリ側の指示・会話履歴・添付ファイル・応答が同居する様子と、上限付近での扱いが利用面や設定によって異なることを示す流れ図

枠を共有しているのは、おおよそ次のものです。

入るもの説明
アプリ側の指示利用者には見えない、製品としての振る舞いを決める指示
これまでの会話履歴同じスレッド内の過去のやりとり全部
添付ファイル・検索結果アップロードした資料やWeb検索で取ってきた本文
これから書く応答出力もこの枠を使う

だから、100万トークンあるから何でも入る、とはなりません。大きなPDFを何本も添付して長く会話を続ければ、枠は着実に埋まります。

Important

出力できる分量には、コンテキストとは別の上限があります。Claude 5系では1回の応答あたり12.8万トークン。長い文章を書かせたら途中で切れた、という現象はこれに当たっている可能性があります。

長い会話で起きること

会話が長くなると、次のようなことが起こります。

古い部分の扱いは利用面で異なる

上限へ近づいたときの挙動は一律ではありません。

利用面・設定上限付近での扱い
Claudeアプリローリング方式でコンテキストを管理することがあり、古い情報が現在のコンテキストから外れる場合がある
標準のMessages API過去のターンを自動要約せず保持する。入力が上限を超えるとエラーになり、出力中に達すると生成が停止することがある
APIでcompactionを有効化古い部分を要約へ置き換え、会話を継続しやすくする

長くなれば必ず自動で要約される、わけではありません。どの製品と設定を使っているかを切り分けてください。

3つの分かれ道を1枚にすると、次のとおりです。

コンテキストの上限へ近づいたときの挙動が、Claudeアプリ、標準のMessages API、compactionを有効化した場合の3つへ枝分かれすることを示した分岐図

指示の埋もれ

会話の序盤で出した指示は、大量のやりとりに挟まれると相対的に目立たなくなります。長い会話では、重要な制約を折に触れて繰り返すのが有効です。

実務上の対処

症状対処
前提を忘れられる新しい会話を始め、必要な前提だけを整理して渡し直す
指示が守られなくなる直近のメッセージで制約を明示的に再掲する
応答が遅い・重い不要な添付を外す、話題ごとに会話を分ける
毎回同じ前提を書くのが面倒Projects機能に前提をまとめる(第7章)
Tip

長い会話を延々と続けるより、目的ごとに会話を分けてください。たいていそのほうが結果がよくなります。コンテキストは共有スペースなので、関係のない話題が同居するほど、いま必要な情報が薄まります。

要点

参考資料


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