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Cloud AI エンジニア入門ガイド
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03. Claudeの仕組み

Claudeに質問すると、意味を理解して考えているように見える文章が返ってきます。ところが内部でやっているのは、驚くほど単純な作業の繰り返しです。

そこを理解しておくと、なぜ堂々と間違えるのか、なぜ同じ質問でも答えが揺れるのか、といった疑問に自分で答えられるようになります。使っていれば必ずぶつかる疑問です。

この章の全体像として、トークン、次の1つを予測、学習は二段階、画像も同じ列の4つを番号順に並べ、堂々と間違える理由を仕組みから説明できるようになることを示した図

シリーズ目次前章: 02. Claudeモデルファミリーの読み方次章: 04. Claudeの「考える」仕組みと長いコンテキスト

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この章のねらい

すべてはトークンでできている

トークンは、モデルが文章を扱うときの最小単位です。人間にとっての文字や単語に近い概念ですが、一致はしません。

英語では、よく使われる単語はまるごと1トークン、珍しい単語は複数のトークンに分割されます。日本語では、ひらがな・カタカナ・漢字がそれぞれ独自の分割をされるため、文字数とトークン数の関係は一定ではありません。

公式ドキュメントの目安では、Claude 5系の100万トークンはおおむね55万5千語、250万文字にあたるそうです。ただしこれは英語中心の文章を想定した数字なので、日本語ではもっと食うと考えておいてください。

Note

トークンの数え方は、モデルの世代で変わります。Claude Opus 4.7の世代で新しい方式が入り、それ以前と比べて同じ文章がおよそ3割多いトークン数になりました。前と同じ文章なのに料金が変わった、と感じたらこれが原因かもしれません。

トークンを意識する場面は主に3つあります。

場面なぜトークンが関係するか
料金APIの課金は入力・出力それぞれのトークン数で決まる
コンテキスト上限一度に読み込める分量がトークン数で決まっている
出力の長さ制限一度に書ける分量もトークン数で決まっている

3つとも同じ単位で決まるため、トークンを押さえておくと後の章がつながります。

トークンという単位から、料金、コンテキスト上限、出力の長さ制限の3つへ枝分かれし、いずれもトークン数で決まることを示した図

次のトークンを当て続ける

モデルの基本動作は、これまでの文章を見て次に来るトークンを予測すること。それだけを、応答が終わるまで繰り返します。

入力文をトークン化し、次のトークンを予測して書き足す動作を繰り返す流れ図

具体例で見てみます。「日本の首都は」という入力に対して、モデルは次に来るトークンの候補と、それぞれの確からしさを計算します。

候補確からしさ(イメージ)
東京非常に高い
京都低い
大阪低い
りんごほぼゼロ

ここから1つを選んで書き出し、「日本の首都は東京」を新しい入力として、また次を予測します。この繰り返しで文章ができあがります。

ここから、実務で効いてくる性質が2つ出てきます。

性質1 それらしさの優先

モデルは事実かどうかを判定していません。次に来そうかを計算しているだけです。だから知らないことについても、それらしく見える続きを書いてしまいます。これがハルシネーション(もっともらしい誤情報)の中身です。第14章で詳しく扱います。

性質2 答えのゆらぎ

候補から1つを選ぶ過程には揺らぎがあります。だから、まったく同じ質問をしても返ってくる文章が少し違う。昨日はうまくいったのに今日は違う、という現象の一因はここです。

Tip

揺らぎが困る用途、たとえば分類や抽出、定型フォーマットの生成では、答えの形式を厳密に指定してください。開発者向けには、出力をJSONスキーマに沿わせる仕組みもあります(第12章)。

文章を読むとはどういうことか

次のトークンを予測するとき、モデルは直前の数語だけを見ているわけではありません。入力された文章全体を見渡して、いまどの部分が重要かを判断しながら予測しています。

会議の議事録を読んで要約する場面を思い浮かべてください。人間も全部の行を均等には読まず、結論や決定事項といった重要そうな箇所へ注意を寄せます。モデルの内部でも、これに似た重み付けが行われています。

この仕組みのおかげで、10ページ前に出てきた固有名詞と、いま書こうとしている文を結びつけられます。逆に、注目すべき箇所が多すぎたり、指示が文章の中に埋もれていたりすると拾えません。プロンプトの書き方が結果を左右するのは、これが理由のひとつです(第6章)。

議事録の例で図にすると、次のような働きです。

左に入力された文章の全体を並べ、決定事項や宿題など重要な行だけが強調されて右の「いま書こうとしている文」へ線でつながる様子を示した図

学習は二段階でできている

Claudeのようなモデルは、大きく2つの段階を経て作られます。

事前学習で知識を獲得し、事後学習で対話と価値観を整える二段階の流れ図

事前学習

膨大な量の文章を読ませ、ひたすら「次のトークンを当てる」練習をさせる段階です。この過程で、文法、語彙、常識、専門知識といったものが、モデルの内部に統計的なパターンとして蓄積されます。

ただしこの段階のモデルは、まだ文章の続きを書く機械にすぎません。質問に答えるという発想も、危険な依頼を断るという発想も持っていません。

事後学習

事前学習を終えたモデルを、実際に使える助手へ仕上げる段階です。ここで次のようなことが行われます。

目的やること
対話の形式を覚えさせる質問と回答の組を大量に学ばせる
望ましい応答へ寄せる応答の良し悪しの評価にもとづいて調整する
価値観を持たせるあらかじめ定めた原則文書に照らして自己批評させ、修正させる

3つ目がAnthropicの特徴的な取り組みで、Constitutional AI(憲法的AI)と呼ばれます。人間が一つひとつの応答を評価する代わりに、守るべき原則を書いた文書をモデルへ与えて、モデル自身に自分の応答を批評・修正させる方法です。この原則文書はClaudeの憲法として公開されています。詳しくは第13章で。

Important

事後学習で身につくのは傾向であって、保証ではありません。原則に沿うよう訓練されていても、巧妙な指示で想定外の応答が引き出されます。安全性の仕組みを過信せず、出力は自分でも確認してください。

画像も同じ枠組みで扱う

現行のClaudeモデルは、文章だけでなく画像も入力として受け取れます。写真、スクリーンショット、図表、手書きのメモなどを添付して質問できます。

内部では、画像もトークンに相当する単位へ変換されてから、文章と同じ列に並べて処理されます。だから、この図の内容を表にまとめて、のように画像と文章をまたいだ指示が通ります。

入口と出口を並べると、次のようになります。

文章と画像の入力が同じ列のトークンへ変換され、出力は文章のみになるという3段階を左から右へ並べた流れ図

ただし出力は文章です。Claudeのモデル自体は画像を生成しません。図やグラフが必要な場合は、コードを書いて描画させる形になります(第7章・第8章)。

要点

参考資料


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