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02. Geminiモデルファミリーの読み方

Geminiのモデル一覧を初めて開くと、たいてい面食らいます。3.6 Flash、3.5 Flash-Lite、3.1 Pro、2.5 Pro。番号もサイズ名もばらばらに並んでいて、どれを選べばいいのか分かりません。

ただ、名前には規則があります。規則さえ分かれば、新しいモデルが出ても読めます。

この章の全体像として、名前の分解、サイズの意味、安定版と試作版、選び方の4つを番号順に並べ、初めて見る名前でも位置づけを推測できるようになることを示した図

シリーズ目次前章: 01. Geminiとは何か次章: 03. Geminiの仕組み

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この章のねらい

名前を3つに分解する

モデル名は、次のように分解できます。

gemini-3.6-flashという名前を、ブランド名・世代番号・サイズという3つの要素に分解した図

gemini-3.6-flash なら、Geminiブランドの、第3.6世代の、Flashサイズ。それだけです。

要素意味
ブランド名常に geminigemini
世代番号大きいほど新しい。小数点以下は改良版2.5、3、3.1、3.5、3.6
サイズ賢さと速さ・価格のバランスpro、flash、flash-lite
接尾辞用途特化を表す(付かないことも多い)image、embedding

サイズが表しているもの

サイズ名が表しているのは、賢さを取るか、速さと安さを取るかです。

サイズ性格向いている仕事
Pro最も賢い。遅く、高価難しい推論、長い資料の精読、複雑なコード生成
Flashバランス型。標準の選択肢日常の質問、要約、下書き作成、資料の読み取り
Flash-Lite最速・最安。単純作業向き分類、翻訳、大量のデータ処理

料理にたとえるなら、Proは時間をかけて仕込む一品、Flashは普段の食事、Flash-Liteは大量に作り置きする常備菜です。毎日Proを使う必要はありませんし、複雑な課題をFlash-Liteに投げても無理です。

性格・向いている仕事・たとえを並べると、3つの違いがはっきりします。

Pro・Flash・Flash-Liteの3つのサイズを横に並べ、それぞれの性格と向いている仕事、料理にたとえた表現を対応させたカード形式の図

Note

かつては最上位に Ultra、端末上で動く最小構成に Nano というサイズ名もありました(Gemini 1.0世代)。いまの一覧では使われていませんが、古い記事を読むときに知っていると混乱しません。

2026年8月時点のラインナップ

基準日である2026-08-04時点で、開発者向けドキュメントに載っている主なモデルは次のとおりです。

モデルIDサイズ状態位置づけ
gemini-3.6-flashFlash安定版現在の主力。速さと賢さのバランス型
gemini-3.5-flashFlash安定版エージェント処理やコーディングに強い
gemini-3.5-flash-liteFlash-Lite安定版3.5世代で最も低コスト
gemini-3.1-flash-liteFlash-Lite安定版大量の翻訳・分類向け
gemini-3.1-pro-previewProプレビュー版高度な推論とエージェント処理
gemini-2.5-proPro安定版安定版として使えるPro系
gemini-2.5-flash / gemini-2.5-flash-liteFlash系安定版旧世代だが実績のある選択肢

ここが引っかかるところです。番号の大きさとサイズは別の軸です。gemini-3.6-flashgemini-3.1-pro-preview より世代番号が大きいのに、難しい推論ではPro系のほうが上。新しければいつでも上位互換、ではありません。

サイズを縦、世代を横に取って並べ直すと、2つが独立した軸であることが見えてきます。

縦にPro・Flash・Flash-Liteのサイズ、横に2.5から3.6までの世代を並べた表で、各枠が安定版・プレビュー版・未提供のどれかを示した図

Important

2026年8月時点で、Pro系の新版(3.5 Pro)は一般提供されていません。Googleの公開情報では、パートナーとテスト中で準備が整い次第広く提供する予定だそうです。公開見送りの理由が社内基準に届かなかったからだと断定できる公表説明はありません。結果として、この時点では安定版のPro系が2.5 Proのままという歪んだ状態になっています。モデル一覧は必ず公式ドキュメントで確認してください。

安定版とプレビュー版

モデルIDの末尾に -preview が付いているものがプレビュー版です。違いはこうなっています。

項目安定版プレビュー版
挙動の変化原則として変わらない予告なく変わることがある
提供終了事前告知と移行期間がある短い期間で終了しうる
利用上限通常の枠厳しめに設定されることがある
向く用途業務システム、継続運用試作、評価、最新機能の検証

業務で動かし続けるものにプレビュー版を組み込むと、ある日突然結果が変わります。試すのはプレビュー版、本番は安定版。ここは崩さないでください。

また、古い世代は順次提供終了(シャットダウン) していきます。2026年8月時点では、Gemini 2.0 Flash、2.0 Flash-001、2.0 Flash-Lite、2.0 Flash-Lite-001は、2026年6月1日にすでに提供終了しています。長く動かすシステムでは、モデルIDを設定ファイルなどで外に出しておき、差し替えられるようにしておくと安全です。

用途特化モデルという枝

サイズ違いのほかに、特定の仕事に特化したモデルもあります。名前を全部覚える必要はありません。そういう枝がある、と知っておくだけで探しやすくなります。

系統何をするか名前の例
画像生成・編集画像を作る、写真を編集するNano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)、Nano Banana 2 Lite
動画生成音声付きの動画を作るVeo 3.1
音楽生成楽曲を作るLyria 3 Pro
埋め込み(Embedding)文章や画像を検索しやすい数値表現に変換するGemini Embedding 2
深い推論時間をかけて難問を解くGemini 3 Deep Think
画面操作ブラウザやアプリの画面を見て操作するツールComputer Use
ロボティクス実世界での動作を推論するGemini Robotics ER

本流と枝の関係を並べると、覚えるべき範囲が絞れます。

上段にPro・Flash・Flash-Liteというサイズ違いの本流を置き、その下に画像生成・動画生成・音楽生成・埋め込み・深い推論・画面操作・ロボティクスという7つの用途特化の枝を並べた図

Nano Banana という愛称は、2025年8月に画像編集モデルが公開されたときの通称がそのまま定着したものです。正式名称は Gemini 3 Pro Image のように系統立っていますが、公式ブログでも愛称が併用されています。

選び方の基準

実務での選び方は、次の流れに落とし込めます。

用途からPro・Flash・Flash-Liteを選び、結果を見て一段上げるか下げるかを判断する流れ図

考え方は単純です。

  1. まずFlash系で試す。多くの仕事はこれで足ります
  2. 品質が足りなければPro系へ上げる。上げてもだめなら、モデルではなく指示(プロンプト)に原因があることが多いです
  3. 十分ならFlash-Lite系も試す。同じ品質で速く安くなるなら、そちらが正解です

Geminiアプリなら、もっと単純です。普段は既定のモデルのまま使い、じっくり考えてほしいときだけ Thinking に相当する選択肢へ切り替える。細かいモデルIDを意識する場面はほとんどありません。

Tip

とりあえず一番賢いモデルを常用するのは、たいてい損です。応答が遅くなるうえ、無料枠や上限を早く使い切ります。上限に達したあと自動的に下位モデルへ切り替わって、かえって品質が落ちることもあります。

要点

参考資料


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