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Cloud AI エンジニア入門ガイド
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08. ChatGPTメモリと文脈の管理

毎回同じ前提を説明するのが面倒。昨日話した内容を覚えていてほしい。この不満に応えるのが、カスタム指示とメモリとプロジェクトの3つです。役割がそれぞれ違うので、混同すると期待外れの動きになります。

この章の全体像として、文脈の階層、カスタム指示、メモリ、プロジェクトの4つを番号順に並べ、読み終えるとどこに何を覚えさせるかを選べるようになることを示した図

シリーズ目次前章: 07. ChatGPTのWeb検索とリサーチ次章: 09. ChatGPTカスタムGPTとエージェント

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この章のねらい

文脈を構成する情報源

モデルが応答を作るとき、見ているのは現在の会話だけではありません。適用範囲の違う情報源がいくつも組み合わさって、実際に処理される前提が組み立てられます。

サービス側の方針、カスタム指示、メモリ、プロジェクト、現在の会話が文脈を構成することを示した図

情報源誰が決めるか適用範囲変更方法
サービス側の方針OpenAI全会話利用者は変更できない
カスタム指示利用者ChatGPTの会話(機能により例外あり)設定画面で自分が書く
メモリモデル+利用者設定やプロジェクトの種類により異なる自動保存され、確認・削除できる
プロジェクト利用者そのプロジェクト内指示とファイルを登録。プロジェクト指示はグローバルなカスタム指示を上書きする
現在の会話利用者その会話のみ発言するだけ

これは固定的な優先順位の階層ではなく、適用範囲の違う情報源の整理です。プロジェクトには、個人の保存メモリやプロジェクト外の会話を参照しないプロジェクト専用メモリを設定できることがあります。そして第2章のとおり、すべては最終的にコンテキストウィンドウという1つの枠に収まります。登録した情報が無制限に効くわけではありません

カスタム指示:自分で書く恒久設定

設定画面に登録しておく、ChatGPTの会話へ適用される指示です(機能によって例外があります)。欄はだいたい2つ。

記入例を挙げます。

【自分について】
非エンジニアの企画職。ソフトウェアの一般的な用語は分かるが、実装の詳細は不慣れ。
社外向け資料を書くことが多い。

【応答について】
- 日本語で、結論から先に書く
- 専門用語を使うときは初出で1行の注釈を付ける
- 箇条書きは5項目までにまとめる
- 不確かな情報は「未確認」と明示する
- 質問の前提が曖昧なときは、推測せずに確認の質問をする

最後の2行は、第4章と同じ考え方です。推測を止めさせる指示を恒久設定に入れておく。これだけで日々の指示が短くなります。

メモリ:自動で貯まる記憶

会話の中から、この人に関して覚えておくとよさそうな情報をモデルが勝手に保存し、以降の会話で参照する仕組みです。カスタム指示との最大の違いは、利用者が書かなくても勝手に増えるところです。

観点カスタム指示メモリ
作成者利用者が明示的に書くモデルが自動保存(利用者の依頼でも保存)
内容の把握自分が書いたので分かる何が保存されたか意識しにくい
更新手動で書き換え会話に応じて自動更新
適した用途文体や役割などの方針進行中の事情、好み、繰り返す前提

覚えさせたいときは、これを覚えておいて、と伝えます。覚えてほしくないときは、これは記憶しないで、と伝えるか、一時チャットを使ってください。

4つの観点で並べると、両者の性格の違いがはっきりします。

カスタム指示とメモリについて、作成者、内容の把握しやすさ、更新のされ方、適した用途の4点を左右に並べて比較し、自動で貯まる側には意図しない情報が残りうることを添えた図

Important

メモリは便利ですが、機微な情報が意図せず保存されて、別の会話で出てくることがあります。画面共有しながら使うとき、他人に見せる出力を作るときは気をつけてください。設定画面からメモリの概要を確認・削除できますが、概要に保存内容のすべてが出ているとは限りません。

管理でやることは3つです。

  1. 定期的に保存内容を見直し、古い前提や誤った情報を削除する
  2. 機微な相談は一時チャットで行う(履歴に残らず、パーソナライズ用のメモリを作成・参照しない。ただし安全目的で限定的な過去情報が使われる場合がある)
  3. 業務と私用でアカウントを分ける、または用途に応じてメモリをオフにする

プロジェクト:案件ごとの作業場

関連する会話とファイルと指示を1か所にまとめる機能です。プロジェクト内で新しい会話を始めると、設定と利用形態に応じて、登録した指示やファイルや会話が前提として使われます。

向く使い方の例です。

会話を分けたまま前提を共有できるので、第2章で書いた1つの会話が長くなりすぎる問題を避けながら前提を保てます。

指示とファイルを外側に置き、その内側で会話を並列に走らせる構造だと考えると分かりやすくなります。

プロジェクトという枠の中にプロジェクト指示と登録ファイルが置かれ、その前提を共有しながら初期調査・原稿の下書き・レビュー対応という複数の会話が並列に走る入れ子構造を示した図

3つの使い分け

状況使うもの
どんな話題でも敬体で書いてほしいカスタム指示
いま進めている引っ越しの事情を覚えていてほしいメモリ
この案件の仕様書を前提に何度も質問したいプロジェクト
定型の作業を他人にも使わせたいカスタムGPT(第9章
一度きり、履歴に残したくない相談一時チャット

迷ったら、いま自分がどの状況にいるかから逆にたどってください。

敬体で書いてほしいときはカスタム指示、進行中の事情を覚えてほしいときはメモリ、案件の資料を前提にするときはプロジェクト、他人にも使わせるときはカスタムGPT、履歴に残したくないときは一時チャットという対応を並べた図

うまく効かないときの確認

症状確認すること
カスタム指示が無視される指示が長すぎないか。矛盾する内容が同時に書かれていないか
覚えているはずの内容が出てこないメモリがオフになっていないか。一時チャットになっていないか
関係ない過去の話が混ざる不要なメモリが残っていないか。プロジェクトを分けるべきでないか
プロジェクトのファイルが参照されないファイル形式・サイズの上限を超えていないか

要点

参考資料


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